こんにちは!現役鍼灸師のツボ男です
野球が好きな私はいつもYahoo!ニュースで野球関連の記事ばかりを読んでいるのですが昨日(2022.3.23)私たち鍼灸師にとっては衝撃的なニュースが入ってきました
ソフトバンク松本裕樹 開幕ローテ入り絶望 はり治療で埋没した針を除去、リハビリ組で調整へ
このニュースを見たとき正直またかー!と思いました
というのもプロ野球界では以前にも鍼における事故が起こっており、そのリスクについて色々と物議が醸されてきました
鍼ってめちゃくちゃ怖いし危ないやん。絶対いや
今まで鍼をしていたけどこんなことあるならもうやめとこかな
このニュースを聞いてそう思った方も少なくないと思います
ですが鍼で身体が劇的に良くなり人生が変わった方がたくさんいらっしゃるのも事実です
どんなものにもリスクはつきものなのですが鍼灸師としては「鍼は怖い」というイメージを患者さんに与えたくないために、あまりリスクについて話をすることがありません
そこで今回は正しく鍼に向き合っていくため鍼のリスクについてお伝えできればと思っています
気胸
私たち鍼灸師が学校で習う鍼のリスクで最も気を付けなければならないと習うのはこの気胸です
気胸というのは簡単にいうと肺に穴が開いてしまった状態
つまり鍼が肺に当たってしまうと肺に穴が開いてしまうことがあるということです
この気胸の怖いところは最悪の場合患者さんが亡くなってしまう可能性があるということです
ほとんどの場合実際に気胸になってしまっても命に別条がないのですが
残念ながら実際にお亡くなりになられた方もいらっしゃいます
参考記事:https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0701V_X01C10A2CC0000
年間数件ですが気胸になる患者さんは今も出ています
肺は意外と大きく膨らむため特に肩回りの施術をする際は容易に鍼が届いてしまいます
気胸を防ぐには鍼を深く差さないなどの注意が必要です
内臓刺鍼
2つめは内臓刺鍼
さきほどは肺に鍼が刺さってしまうという状態でしたが肺以外にも特に腎臓などに鍼が届くこともあります
腎臓の位置は腰の上の方にあるのですがこの場所は腰痛で痛くなることが多い場所と重なっており
鍼が腎臓に届いてしまうことがあるのです
内臓刺鍼については可能性がある程度で実際に起きたという話はあまり聞いたことはありません
神経刺鍼
今までは鍼が内臓に当たってしまうことによっておこるリスクでしたが
鍼が神経に当たることも良くないとされています
澤村拓一投手、はり治療のミスで神経麻痺 巨人が本人に謝罪
冒頭でまたかーと書いたのは以前、元巨人で現在メジャーリーガーの澤村拓一投手がこの神経刺鍼によって神経麻痺が起きてしまったとされているからです
ニュース記事によると長胸神経という胸の辺りの筋肉に鍼が当たってしまい神経の通り道である指先などがマヒしてしまったとのことです
このように神経に鍼が当たるとびりっとした痛みの神経痛が出たり感覚がマヒしてしまったりします
現在澤村投手はメジャーリーグでバリバリ活躍されているように神経刺鍼による症状は一時的なもので回復することがほとんどです
すでに麻痺がおこっている患者さんにあえて神経刺鍼を行う施術を行っている先生もいらっしゃいます
埋没鍼
今回のタイトルにあるソフトバンクの松本投手に起きてしまった事故がこちらの埋没鍼
ニュース記事によると松本投手の腰に刺していた鍼が折れてしまい、体内に残ってしまった為
身体を切開して摘出したとのこと
参考記事:https://www.sanspo.com/article/20220323-QFGBTTZB3NIDBHWIKDICF6UQTA/
この埋没鍼、私も学生時代にリスクとして習いましたが実際起きたケースは初めて聞きました
というのも現在の鍼はディスポ鍼という使い捨てタイプでステンレスから作られたものが主流になっています
このディスポ鍼が非常に優秀で、曲がることはあっても折れることを見たことがありません
ディスポ鍼がでるまでは金からできた金鍼や銀からできた銀鍼が多く使われており
それを滅菌して繰り返し使用していました
そのため何度も繰り返し使用する内、折れてしまうことがあったようですが・・・
対策としては鍼を体内に全部入れず少し見える状態でとどめておく事などがあります
少しでも鍼が見えていればピンセットなどで引き抜くことができるからです
昔は鍼をわざと体内に残す恐ろしい治療法などもあったようですが
今では絶対にダメです!!
実際に埋没してしまった場合は鍼が移動して動脈などを傷つけてしまうといけないので松本投手の様に切開して摘出する必要があります
感染症
先ほどディスポ鍼の話をさせていただきましたがディスポ鍼が主流になってから減ってきているのがこの感染症リスク
以前は鍼を使いまわしていたため血液が付着したまま再び鍼を刺すという恐ろしい行為が普通に行われていました
そのためB型肝炎など血液を介して移ってしまう感染症のリスクがありました
現在はディスポ鍼によってこの感染症はほとんどリスクがないと言えるところまで来ています
内出血
と、ここまで鍼のリスクについて思いつくものを上げてきました。
どう思った?
いや、鍼怖すぎるわこんなん聞かされたら絶対やりたくないわ
怖いことばっかり書いたからな。
でもここまでのリスクは正直めったに起こるものじゃないし、重大なものやから気を付けてる鍼灸師がほとんど
だから起こったときにすごい大きなニュースになるけどそこまで神経質にならなくても大丈夫やで
ほーん。ほな実際によく起きるリスクとかはあるの?
それがあるんや。内出血や
この内出血が鍼灸師としてどうしても避けられないリスクとしてあります
体内には目に見えないほど小さく、数えきれないほど多くの毛細血管が通っています
その体内に鍼を刺していくためどうしても毛細血管に鍼が当たり、内出血が起きてしまうのです
内出血が起きるとどうなるのか?
内出血が起きると皮膚にいわゆる”あざ”ができます
少し痛みをともなう場合もありますが、ほとんどの場合は無痛でそのまま放っておけば自然に消えます
しかし今問題になっているのが美容鍼での内出血です
この内出血のあざが顔にできてしまうとどうしても目立ってしまう為見た目の問題としてリスクになってしまいます
私もセミナーなどで内出血しにくいような方法などを習いましたが100%ではありません
特に美容鍼を受けられる方は、内出血についての説明をしっかりしてくれる先生に施術をお願いすることをおススメします
まとめ
ここまでざっと鍼におけるリスクについてお話させていただきました
怖いことばかり書きましたが人体に影響を及ぼすようなリスクに関しては施術者側が気を付けていれば起きることはありません
一番大事なのは施術者と患者様側にしっかりとした信頼関係やリスク管理の共有ができていることです
私たち施術者側もしっかりと患者様に寄り添えるように日々努力していかなければならないと思っておりますので
患者様の皆さんも何かわからないことや気になることがあればぜひ鍼灸師にお聞きくださればと思っております
コメント
ディスポでアルミってありましたかね?
ご指摘ありがとうございます!
私が間違えておりました、ステンレスですね、、、
本当に助かりました。